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レイアウト設計・詳細分析

1-4.Tera計算1から詳細レイアウト設計と導入機器の検討

現代の物流施設計画において、競争力のある配送センターを構築するためには、標準的な設備だけではなく、自動倉庫やソーターなどの高度なマテハン機器の導入が不可避となっています。

Tera計算2に組み込まれていない高度な自動化設備・機器を検討する際は、Tera計算1のEIQマトリクス表から詳細な作業フロー別の運用集計を行い、より精密なレイアウト設計に必要な数値を算出する必要があります。

本章では、EIQマトリクス表を活用して現場に最適な作業フロー区分を設定し、それぞれの運用に適した機器設定を行い、最終的な投資対効果(ROI)を導き出すまでの具体的な手順を詳しく解説します。

1. 案1(Tera計算1)と案2(Tera計算2)の主な違い

物流施設計画の設計アプローチにおいて、Tera計算1(案1)とTera計算2(案2)は役割が明確に異なります。両案の大きな相違点は以下の4点に集約されます。

検討項目 案1:Tera計算1(作業運用重視・詳細設計向け) 案2:Tera計算2(保管・全体概算重視向け)
1. 導入機器・面積算定のアプローチ 設定する導入機器に制限がありません。EIQマトリクス作業フロー集計値をもとに、設計者が最適な機器を自由に配置し、面積を手作業(CAD等)で緻密に算定します。 システムに組み込み済みの標準機器(固定棚や中量棚など)の面積を自動計算します。組み込み機器以外の特殊な機器の面積計算は不可です。
2. ランク設定のキー指標 ケース出荷=「ケース」、バラ出荷=「行(ピッキング回数・作業負荷)」をキーとします。いかに効率よく作業フローを流すかの運用最適化を重視します。 ケース・バラ共に「PL(パレット)換算」をキーとします。建屋全体の概算規模の早期導出を重視します。
3. 採用する出荷日(対象データ) 年間を通じて最も物量が跳ね上がる「ピーク時出荷日(例:2022/05/09)」を採用し、最大の波動を乗り切るために必要な自動化機器のピーク処理能力を計算します。 全出荷データの平均を採用します。全アイテムの保管情報を網羅し、ピークは安全在庫の消化等で運用カバーすることを前提とします。
4. 選択する導入機器の傾向 ソーター、ケース自動倉庫、シャトルラック、GTP(Goods to Person)など、高度な自動化・機械化を強く意識した導入機器の選定となります。 導入実績が多くコストが安い、手作業・標準機器(PL固定棚、フォークリフト、手押し台車等)を中心とした選定となります。

第1節・第2節 導入機器の仕様検討と作業フロー構築

作業フローのイメージ(全体フローマップの設定)

物流施設計画を立案する際、まずは取扱う商品特性(ケースかバラか)と流動性(高流動・低流動)に応じて、どの導入機器をどの工程に割り当てるかという作業フローを明確に定義します。

  • 1. ケース出荷の作業フロー:

    出荷頻度が極めて高い高流動出荷先・高流動アイテムは、コンベヤと高速仕分機(スライディングシューソーターやクロスベルトソーター等)で一気に処理します。 一方、出荷頻度の低い低流動品は、多段走行台車のケース自動倉庫(ミニロードAS/RS)に格納し、必要な時にのみ呼び出して出荷ラインへ合流させます。

  • 2. バラ出荷の作業フロー:

    毎日必ず出荷があるような高流動品は、デジタルピッキング表示器を備えたフロー棚(傾斜つきの流動棚)の前面に並べ、作業員の歩行距離を最小限にして処理します。 一方、滅多に出ない低流動バラ品は、ケース自動倉庫の奥深くで高密度保管を行います。

  • 3. 低流動統合処理(GTP:Goods to Person):

    ケース出荷・バラ出荷共に、広い倉庫内を人が歩き回ってピッキングすると作業負荷が極大化する低流動品については、同一のケース自動倉庫内で管理します。 そして「人が商品を取りに行く」のではなく「商品(コンテナ)が人の手元に自動でやってくる」出庫ステーション(GTPシステム)にて、歩行ゼロでの仕分け・ピッキングを実施する機器設定とします。

第3節 作業フローのEIQマトリクス転記と運用別集計

EIQマトリクス表への割り当てと精緻な検証

上記で定義した作業フロー(A、B1、B2、B3等)を、Tera計算1で算出した5×5のEIQマトリクス表の該当するセルに正確に割り当てます。 その後、作業フローの単位ごとに「全出庫回数」「ピッキングすべきバラ数」「ケース換算箱数」「保管に必要なPL換算」「トラック積載用の重量換算」を横断的に集計します。 最後に、各運用フローで集計した値の合計が、元の出荷先計・アイテム計と1の誤差もなく一致するか(クロスチェック)を厳格に行い、計算漏れを防ぎます。

運用別集計一覧の読み方例(実数値のブレイクダウン)

EIQマトリクスから導き出された運用別集計データは、以下のように読み解き、各導入機器の処理能力計算へと応用します。

  • ケース出荷(全ケース換算):

    保管エリアから全918アイテム・6,449ケースを300件の出荷先へ出庫するという全体像があります。
    [フロー別内訳]A運用(ソーター直行):365アイテム・4,893ケース / B1運用:365アイテム・780ケース / B2運用:452アイテム・643ケース / B3運用(自動倉庫GTP):365アイテム・133ケース。

  • バラ出荷(全ケース換算):

    保管エリアから全2,393アイテム・3,174ケース分のバラ品を411件の出荷先へ出庫するという全体像があります。
    [フロー別内訳]C運用(フロー棚):1,211アイテム・2,400ケース分 / B1運用:1,211アイテム・356ケース分 / B2運用:1,182アイテム・319ケース分 / B3運用(自動倉庫GTP):1,182アイテム・99ケース分。

※ この「作業フロー(運用)別の緻密な集計」を行うことにより、自動化機器の導入に必要な正確な保管間口数、1時間あたりの入出庫能力(補充サイクル含む)、そして出荷時に必要なオリコン(コンテナ容器)の数を、どんぶり勘定ではなく理論値として完全に拾い出すことが可能になります。

第4節〜第6節 作業フロー別の機器設定とレイアウト・投資検証

第4節 第1項 C作業フローとD作業フローの集計と機器設定

集計された数値を実際の物理的な機器設定の要件へと落とし込みます。

  • C作業フロー(高流動バラ・デジタルフロー棚):

    1,200アイテム・2,400ケース(パレットに換算して56PL分)を保管エリアからパレットごと一括出庫し、補充エリアへ運びます(151出庫回数)。 その後、作業員がフロー棚前面のランプに従って3,843回のピッキング作業を行い、411出荷先(1発送先あたり約9.35回のピッキング発生)へ向けて正確に出荷する設定となります。

  • D作業フロー(低流動バラ・ケース自動倉庫GTP):

    2,393という多種多様なアイテムでありながら、物量はわずか774ケース(24PL換算)しかありません。 これらを一つ一つ棚に並べると膨大な面積を消費するため、出庫用の標準コンテナ容器(約550コンテナ、1コンテナ当たり約4.35アイテムを混載)に収納し、ケース自動倉庫で立体的に高密度保管し、機械の力で呼び出して処理する設定とします。

第5節・第6節 レイアウト図作成と投資対効果(ROI)の厳格な検証

算出した物量を各工程ブロック(入荷・保管・ピッキング・検品梱包・出荷)へ記入後、物流施設計画全体の作業動線(モノと人の流れが交差しないか等)と建物の物理的寸法(柱ピッチ、有効天井高など)に合わせて、実際のスケールで導入機器を配置(レイアウト図面作成)します。

📌 経営層へ提示する投資対効果(ROI)の必須比較評価項目

自動化機器の導入は多額の資金を要するため、以下の両面からの冷徹な評価が不可欠です。

1. コスト面の評価: 自動倉庫やソーターなど物流機器の「初期投資額(数億〜数十億円)」および「毎年のメンテナンス・電気代等維持費」の総コストが、自動化によって削減できる「ピッキング人員・フォークリフト作業員の大幅な人件費(採用費・管理費含む)」を何年で上回り、投資回収できるかをシミュレーションします。
2. 運用・リスク面の評価: 機器トラブル時のバックアップ体制(システムの運用難易度)、無人化による安全性の圧倒的な確保、および建物をコンパクトにできる(必要な設置面積の削減による賃料低減効果)といった定性的なメリットの比較評価を行います。

最終的に、Tera計算2で導き出した「初期投資は安いが人手がかかる手作業中心レイアウト」と、Tera計算1から導き出した「初期投資は高いが人を極限まで減らせる自動化レイアウト(案1)」を数年スパンで比較検討し、自社の経営戦略にとって最も優位性(ROI)の高い最適システムを構築します。