第12節 敷地面積計算

この資料は、物流センター設計の最終的な土地活用を決定する**「敷地面積計算」**のプロセスと、考慮すべき外部環境(動線や法的規制)を解説したものです。

建物の規模だけでなく、トラック導線や安全な歩行者動線、さらには法令で定められた空地をどのように確保し、全体のセンター規模を決定するかが焦点となります。主要なポイントを整理して解説します。

1. 敷地レイアウトトラック導線の確保

建物を敷地に配置する際、最も重要なのは効率的かつ安全な車両の動きです。

  • トラック旋回通路の算出: 大型トラックが中心となる入荷バースと、台数が多い小型トラックが中心の出荷バース、それぞれの特性に合わせたスペースが必要です。
  • 通路幅の基準: トラック導線として「トラック旋回半径 + 最小限1m」の有効幅が最低限必要とされます。
  • 人の導線確保: 大型センターでは延べ500人以上が通行する場合もあり、トラックとの干渉を避けた安全な歩行ルートの確保が不可欠です。

2. 建ぺい率容積率の計算

立地する「用途地域」によって法的規制値が異なります。Tera設定では一般的に**建ぺい率60%・容積率200%**を基準としています。

  • 建ぺい率の計算式:
    (建屋投影面積 + 庇面積 × 50%) ÷ 敷地面積
  • 容積率の計算式:
    (延べ床面積 + 仮想床加算) ÷ 敷地面積

3. その他の敷地内必要スペース

建物と通路以外にも、以下のスペースを敷地内に確保する必要があります。

  • 車両・待機関連: 従業員用の駐車場・駐輪場、および入荷トラックの待機スペース。
  • 環境・法的制約: 各自治体の条例等で指定された「緑地」などの空地確保。

4. 建物構成による配置のバリエーション

敷地の形状や効率に応じて、以下の要素を組み合わせて敷地レイアウトのシミュレーションを行います。

  • 建屋階数: 土地の広さに対して、何階建てにするか。
  • 別棟の有無: 自動倉庫(ラックビル)などを別棟にするか、本棟(母屋)に組み込むか。
  • バースの形式: 雨除けの「庇(ひさし)」を出す形式か、建屋内にトラックが入り込む「建屋組込み(バース組込型)」か。
  • バースの配置面: トラックが接車する面を1面にするか、2面以上にするか。

まとめ:配送センター規模計算の全体像

これまでのステップで、以下のデータがすべて出揃いました。

  1. 物量分析から導かれた「入荷・出荷・保管」の必要量。
  2. 作業・設備検討から算出された「各物流スペース」の面積。
  3. 建築仕様検討による「建物の形状(幅・奥行・高さ)」。
  4. 敷地検討による「土地の必要面積(敷地面積)」。

これで、出荷データという「目に見えない数字」から、センター規模という「目に見える巨大な施設」の全体像を論理的に導き出すプロセスが完了しました。

敷地レイアウトの例


第1項 建ぺい率容積率

建物を敷地レイアウトに組込むとき、建ぺい率容積率と同時にトラック導線を確保(トラック旋回通路)することが重要。
入荷バースは大型トラックが多く、出荷バースは小型トラックであるがバース数が必要多い傾向にある。トラック通路(有効幅)=トラック旋回通路+1mは最低必要となる。

敷地にはトラック導線の他に駐車場・駐輪場、トラックの待機スペース等、法的に指定された緑地がある。 特にトラックとの干渉を避けた、安全な人の導線確保(大型センターでは延べ500人以上通行)が重要である。

建ぺい率は用途地域(計画的市街地を形成するために、用途に応じて13地域に分けられたエリア区分)より変化する。建設ができない地域もあるので他著作物で確認いただきたい。
計算は建ぺい率=(建屋投影面積+庇面積*50%)/敷地面積容積率=延べ床面積(仮想床加算)/敷地面積。 Tera設定では建ぺい率60%・容積率200%で計算している。

第2項 建屋階数

取得できる敷地面積には限りがあるため、必要な延床面積を確保するために建物を多階層(2階建て、3階建てなど)にするかを検討します。階数を増やすことで狭い敷地でも容積率の範囲内で大きなセンター規模を実現できますが、垂直搬送機(エレベーターやコンベヤ)の設置が必要となり、建築コストや作業効率に影響を与えます。

第3項 別棟有り無し

PL自動倉庫などを導入する場合、建屋(母屋)の中に組み込むか、独立した「別棟(ラックビル)」として建設するかを選択します。自動倉庫は高層になるため、別棟にすることで母屋の構造設計(吹き抜けの回避など)がシンプルになるメリットがあります。一方で、別棟を設けると敷地レイアウトが複雑になり、トラック導線への配慮がより一層求められます。

第4項 バース庇(ひさし)・建屋組込み

トラックが接車するバース部分の構造を選択します。「庇(ひさし)型」は建物の外に大きな屋根を張り出す形式で、建築コストを抑えられますが、庇面積の50%が建ぺい率の計算に含まれます。「建屋組込み型(インナーバース)」はトラック自体が建物の中に入る構造で、天候の影響を受けにくく騒音対策にもなりますが、1階の有効保管面積が減少します。

第5項 バース1面・2面

トラックの接車面を建物の片側だけ(1面)にするか、両側(2面・L字型など)にするかを決定します。「1面」はトラック導線がシンプルになりますが、入出荷の動線が交差しやすいデメリットがあります。「2面」は入荷と出荷の動線を完全に分離(スルー型)でき、作業効率が高まりますが、建物の両側に広大なトラック旋回スペースが必要となり、広大な敷地面積が要求されます。