物流施設計画及び改善|関連知識 Menu

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国内物流動向データ

3-2.貨物輸送量の分析に基づく物流施設計画と流通団地選定

企業が勝てるサプライチェーンを構築し、無駄のない物流施設計画を策定するためには、マクロな貨物輸送の動向や地域ごとの貨物流動(域内流動域外流動)を正確に把握することが不可欠です。

単に「需要地に最も近い場所」や「賃料が安い土地」を選ぶだけでは、稼働後の貨物輸送コスト肥大化やトラックの接車待ち、2024年問題に伴うドライバー確保の困難といった致命的な課題に直面します。

本稿では、過去20年間の国内貨物輸送量の変化、地域ブロックごとの域内流動域外流動のバランス、アンド全国の主要な流通団地が果たすハブ機能を多角的に分析し、高精度な物流施設計画に落とし込むための実務指針を解説します。

貨物輸送量のグラフメモ

1.過去20年間の貨物輸送動向と背景

自社の物流施設計画を成功させる第一歩は、日本全体の貨物輸送を取り巻くマクロ環境の変化を正しく洞察することです。

1-1. 全物流コスト(売上高物流コスト比率・マクロコスト)の動向

低迷・安定期(2000年代〜2010年代半ば)

運送事業者の価格競争や企業側の徹底した物流効率化により、売上高に対する物流コスト比率は長らく5%未満〜5%前後で低位安定していました。

長期的な上昇期(2016年以降)

トラックドライバーの人手不足深刻化に伴う運賃値上げ、燃料高騰、人件費の上昇を背景に、貨物輸送コストの上昇が本格化しました。

高水準の定着(2021年〜現在)

2021年度には5.70%と過去20年で最高比率を記録。近年も5.36%〜5.44%と高水準で推移しており、「2024年問題」対応や物価高により、物流コストの負担感は過去最高レベルに達しています。

1-2. 物流量(国内貨物輸送量)の構造変化

総重量(トンベース)の緩やかな減少

製造業の海外移転や製品の軽量化、共同配送の推進により、国内の総貨物輸送重量は2000年代初頭の50億トン規模から40億トン台前半へと緩やかに減少・横ばい傾向が続いています。

BtoB(企業間)と BtoC(EC・宅配)の解離

BtoBの大量輸送が伸び悩む一方、EC拡大により宅配便の取扱個数は爆発的に増加。総重量は増えずとも「小口多頻度化」が激化し、現場の作業負荷と輸送頻度を押し上げる構造変化が進行しています。

2.全国10地域ブロック別の流動構造(域内流動 vs 域外流動)

物流施設計画において拠点の配置エリアを決定する際、最も重要な指標となるのが出荷地の「域内流動(ブロック内完結)」と「域外流動(他ブロックへの跨ぎ輸送)」の比率です。

全国10地域ブロック別の物流量とシェア

域内流動が約 7〜8 割を占める事実

各地域ブロックから出荷される貨物輸送の大部分(約70〜80%)は、同じブロック内で完結する流動(域内流動)です。地産地消型や地域密着型の配送網設計が基本となります。

域外流動は隣接地域・大都市圏向けが中心

残りの約2〜3割(域外流動)は、主に「隣接する地域ブロックへの輸送」や「関東・中部・近畿といった大都市圏への集中輸送」で占められています。

マッピングデータから読み解く構造的特徴と施設計画へのインサイト

1. 三大都市圏への極度な集中(56.6%)
関東(27.8%)・中部(16.1%)・近畿(12.7%)の3ブロックだけで、日本全体の貨物輸送量の過半数(56.6%)を占めています。広域ハブセンターを設置する場合、これら都市圏へのアクセス性に優れた流通団地の選定が必須となります。

2. 高い「地域内完結率」(全国平均77.1%)
全国の総貨物輸送量のうち約77.1%は同じブロック内で完結(域内流動)しており、地域ブロックを跨ぐ輸送(域外流動)は全体の約22.9%に過ぎません。特に関東や九州は域内流動の比率が極めて高く、地域内ラストワンマイル網の強化が物流施設計画の肝となります。

3. 都道府県別トップは「愛知県」
地域ブロック単位では関東が1位ですが、都道府県単体で見ると、製造業の一大集積地である愛知県が全国1位の貨物輸送量を誇ります。生産物流と販売物流の接点としての中部圏の重要性を示しています。

3.全国の主要な流通団地と集約拠点

全国の主要な流通団地(流通業務団地)は、都市部の交通混雑緩和と貨物輸送の集約・効率化を目的に、高速道路のインターチェンジ(IC)、主要幹線道路、港湾・空港に直結する絶好の立地に整備されています。

1. 首都圏(関東エリア)

巨大な消費地と国際インフラを擁する首都圏では、湾岸部と内陸環状線(外環道・圏央道)沿いの流通団地域内流動域外流動の中核を成しています。

2. 中部圏(中京エリア)

自動車産業が集積し、東名・名神・中央道・新東名が集約する日本の貨物輸送ジャンクションです。

3. 近畿圏(関西エリア)

名神・中国道・阪神高速・近畿道・新名神が網の目のように走り、西日本全域への域外流動をカバーします。

4. 九州・中国・四国・北海道・東北エリア

地方ブロックでは、主要高速道路の十字路(ジャンクション)や大都市圏のインター近傍に広域流通団地が形成されています。

4.物流施設計画において流通団地が果たす3つの役割

企業が高度な物流施設計画を推進する際、単独で民間の用地を獲得して拠点を建てるのではなく、行政や開発公社等によって計画的に整備された流通団地(流通業務団地)内に進出・配置することには、極めて大きな構造的・戦略的メリットが存在します。流通団地は、単なる倉庫の集合体にとどまらず、地域経済と広域の貨物輸送網を円滑につなぐ不可欠な社会インフラとして、主に以下の3つの重要役割を果たしています。