物流施設計画及び改善|関連知識 Menu

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物流システム設計・事前準備

4-4.物流施設計画における現状調査・現場調査の重要性

高度な物流施設計画を立案し、無駄のない配送センターを構築するためには、デジタルなデータ分析のみならず、緻密な現状調査と生きた現場調査が不可欠です。

データ分析に入る前に現場調査ヒアリング調査を通じて現行オペレーションの実態を把握しておくことで、数字だけでは見えてこない顧客の具体的な運用要望や、現場特有のイレギュラー(特異性)が明瞭になります。これにより、定量データの解釈ミスを防ぎ、極めて精度の高い分析集計および最適化シミュレーションが可能となります。

本稿では、失敗しないシステム設計を実現するために、データ分析と同等以上の重要性を持つヒアリング調査の役割と、具体的な現状調査シートの活用ノウハウを徹底解説します。

1. システム設計における「現場調査・ヒアリング調査」の絶対的価値

なぜデータ分析と同等に「現場調査」が必要なのか?

物流施設計画や倉庫のシステム設計を行う際、WMS(倉庫管理システム)や基幹システムから抽出したWMSトランザクションデータの解析(定量分析)だけに依存することは極めて危険です。データは「過去に何が何個動いたか」という結果の記録に過ぎず、「なぜその作業手順なのか」「どのような現場の制約があるのか」という背景までは語ってくれないからです。

例えば、データ上は単なる「ケース出荷100箱」と記録されていても、実際の現場調査を行うと「特定の顧客向けには特殊な流札貼りが必要」「入荷時に箱潰れが多く再梱包が発生している」「特定の時間帯にトラックの接車が集中してバースがパンクしている」といった現場固有の課題や特異性が浮き彫りになります。

データ分析の「前」に現場調査やキーマンへのヒアリング調査を実施しておくことで、以下の大きなメリットが得られます。

💡 【結論】「定量データ分析」×「定性現場調査」= 最強の物流施設計画

客観的な数字(データ分析)と、現場のリアルな実態(現場調査・ヒアリング調査)は、システム設計における「車の両輪」です。どちらか一方でも欠ければ、稼働後に現場が混乱する欠陥システムへ陥るリスクが高まります。

2. 実務でそのまま使える現状調査表(全8シート)と解説

当研究所が長年のコンサルティング現場で使用している「現状調査表」の標準フォーマットです。データ分析前の事前準備として、以下のヒアリング項目を網羅的に確認・記入してください。

📂 現状調査シートの入手: 現状調査表テンプレート(.7z)をダウンロード

調査表の構成と各シートのヒアリングポイント

表紙:現状調査資料

現状調査資料 表紙

🔍 【シート1説明】プロジェクト管理とセキュリティ(機密保持)

本シートは、配送センター構築・リニューアルプロジェクトにおける初期ヒアリング資料の表紙です。

  • 機密保持の厳守: 拠点の再編計画・物量データ・投資予算は企業の最高機密にあたるため、「社外秘」として厳重に管理します。
  • 基本情報の特定: 物件名、納入顧客名(引合先)、調査年月日、調査担当部門を明確にし、プロジェクトの前提条件を記録します。

1.ご計画概要

1. ご計画概要

🔍 【シート2説明】プロジェクト目的・投資予算・ヒアリング範囲の確定

プロジェクトの推進動機、スケジュール目標(完成時期)、および投資予算枠をヒアリングするシートです。

  • 計画目的(動機): 「出荷処理能力の拡張」「人手不足への省人化対応」「拠点集約による物流コスト削減」など、意思決定の軸となるゴールを明確化します。
  • 投資予算枠の確認: 物流機器予算(マテハン)と情報システム予算(WMS・ITインフラ)の枠組みを初期に把握し、身の丈に合った現実的なシステム設計を考案します。
  • インサイド・アウトの事前準備: 敷地・建屋図面や分析用データの有無を確認し、中身(運用・動線)から箱(建物)を決める設計ステップへ繋げます。

2.建物概要(ハードウェアスペック)

2. 建物概要

🔍 【シート3説明】建築法規と物理構造(ハードスペック)の制約条件調査

新設または既設建物の物理的スペックと、建築基準法上の制約事項を調査するシートです。

  • 法的制限と許容面積: 敷地面積、建蔽率、容積率、高さ規制(31mの壁等)から、建設可能な許容延床面積を割り出します。
  • 空間・設備インフラ: 梁下有効高さ(5.5m以上の確保)、床耐荷重(1.5t/m²〜2t/m²等)、受電設備容量(自動倉庫や冷凍冷蔵設備、EV充電用高圧電力)を調査します。
  • インサイド・アウトの徹底: 注記にある通り、物流システム側の設計結果(必要高さ・床荷重)に合わせて建屋仕様をすり合わせるアプローチが鉄則です。

2-1.各エリア(フロアー)別機能

2-1 各エリア(フロアー)別機能

🔍 【シート4説明】機能エリア別配分とPCB(荷姿)別取扱単位のヒアリング

倉庫内の各機能ゾーン(入荷、保管、加工、検品、出荷)における必要面積と取扱単位を整理するレイアウト基礎シートです。

  • PCB分析との連動: 各エリアで動く荷姿単位(P=パレット、ケース、ピース、B=バラ)にチェックを入れます。入荷時から出荷時にかけて荷姿がどうトランスフォーム(変容)するかを明確にします。
  • 機能ゾーニング: 入荷バース、パレット棚・自動倉庫、中軽量棚、流通加工エリア、検品梱包、出荷待機スペース、EV・垂直搬送機、事務所の各配置面積(m²)を算出します。

3.物流量の調査(3-1 商品特性 / 3-2 入荷特性)

3-1 商品特性 / 3-2 入荷特性の概要

🔍 【シート5説明】商品の物理属性(荷姿寸法)と入荷トラック受入能力の調査

マテハン設備の棚ピッチや耐荷重、入荷バース数を算出するための商品・入荷属性シートです。

  • 商品特性: ケース外寸法(最大・平均・最小 W×D×H/Weight)、ケース入数、パレット仕様(木製/樹脂、積載段数)をヒアリングします。
  • 入荷特性: 入荷時間帯(午前/午後/夜間)、1日・1時間あたりの入荷ケース数、入荷トラック車種(10t/4t/コンテナ)の台数と積載率を定量化します。

3-3.在庫特性(原料・副資材含む)

3-3 在庫特性

🔍 【シート6説明】SKU数・保管容量・データ単位の整合性確認

必要保管キャパシティ(パレットラック数・棚段数)を設計するための在庫構造調査シートです。

  • SKU構造の分析: 登録アイテム数(マスター数)と実在庫アイテム数(実際に常時保管されているSKU)の乖離を確認します。
  • 保管形態の選定: 平均・最大在庫数(ケース/個数)を基に、パレット保管・ケース保管・バラ保管の最適な格納方法と段数を試算します。
  • 【最重要】データ単位の整合: 「当社管理単位」と「顧客管理単位」の差(PL/CS/PCS)を事前にすり合わせ、データ分析時の計算エラーを防ぎます。

3-4 出荷特性 / 3-5 帳票類 / 3-6 作業時間

3-4 出荷特性 / 3-5 帳票類 / 3-6 作業時間

🔍 【シート7説明】出荷波動・24時間タイムスケジュール・リードタイム調査

受注締めから出荷完了までの時間軸(作業タイムスケジュール)と、波動特性を解明するシートです。

  • 出荷特性: 出荷単位(PL/ケース/バラ)、配送先登録数、1日あたり配送先数、トラック台数と出発時間を把握します。月別物量波動(年間100%基準)をプロットします。
  • 作業時間軸(24時間工程表): 当日午前〜翌日午前までの時間軸で、出荷指示データ受信、入荷・検品・入庫、商品補充、ピッキング、梱包、トラック出荷の各工程がどの時間帯に集中(スパイク)するかを可視化します。

3-7.人員構成 / 4.情報システム

3-7 人員構成 / 4. 情報システム

🔍 【シート8説明】工程別人件費コストとIT・WMSインフラ要件調査

現行の現場作業人員(人件費コスト)と、マテハン・運用を制御する情報システム(WMS)の要件調査シートです。

  • 工程別人員構成: 管理者、入荷、補充、ピッキング、加工、梱包、伝票発行ごとに、社員・パート別の人数と延べ作業時間(残業含む)を算出します。自動化機器導入による人件費削減効果(ROI)の評価軸となります。
  • 情報システム要件: 受注手段(EOS/Tel/Fax/Web)、受信回数(締め時間と出荷タイミング)、WMS(倉庫管理システム)の有無、ロケーション管理レベル(全エリア/一部)、入荷検品方式(目視/BCR)、ピッキング指示方式を網羅的に特定します。