物流施設計画及び改善|関連知識 Menu

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物流効率化ガイド

3-7.物流施設計画における物流分析の方法と活用について

競合他社に対して優位性を確保し、無駄のないサプライチェーンを構築するためには、勘や経験に頼らない客観的なデータ駆動型の物流施設計画が不可欠です。

新センターの建設や既存拠点の再編を行う際、単に「広い倉庫を作る」だけでは成功しません。 顧客へ荷物を届けるまでのリードタイムをどれだけ短縮できるかという「配送の利便性」、大型トラックのアクセスや高速道路ICへの近さといった「交通の立地条件」、そして安定した庫内オペレーションを長期的に維持するための「雇用立地の確保」という3つの視点を多角的に分析・検討する必要があります。

本稿では、配送リードタイムの最小化と最適な立地選定を可能にする物流データ分析の手法と、具体的な活用手順について詳しく解説します。

1.DATA分析の背景と役割

物流センターの設計や拠点の再編において、定量的なデータ分析はすべての物流施設計画の起点となります。 データ分析を行わずに立地や規模を決定してしまうと、想定外のコスト肥大化や作業遅延を引き起こす要因となります。

1-1.DATA分析はなぜ必要か

物流データを分析する最大の目的は、倉庫内の作業効率化にとどまらず、自社にとって最も優位な立地条件を特定し、無駄のない設備投資を行うことにあります。

例えば、出荷データを分析することで顧客の地域的偏りやオーダーの発生頻度が可視化されます。 これにより、主要な配送先に対する「平均リードタイムの短縮」と「輸配送コストの削減」を両立できる最適な立地エリアが自ずと絞り込まれます。 また、時間帯ごとの作業波動を把握することで、必要となるパート・アルバイトの作業人数が正確に試算可能となり、周辺労働人口などの雇用立地の評価指標としても活用されます。

DATA分析が必要な理由

1-2.DATA分析は誰が行うか

分析は、現場の作業管理者だけでなく、経営企画、営業、IT部門、そして外部の3PL事業者やコンサルタントが一体となった「プロジェクトチーム」で行うことが理想的です。現場視点の「運用のしやすさ」と、経営視点の「立地投資対効果(ROI)」の双方を満たす物流施設計画を策定するためです。

DATA分析の実施主体

1-3.DATA分析はいつ行うか

新規拠点の立ち上げや立地選定を行う「初期の構想フェーズ」はもちろんのこと、定期的な見直し(業務改善フェーズ)においても継続的に実施します。顧客需要の変化に合わせて柔軟にリードタイムや運用を見直すことが、持続可能な物流体制の維持に繋がります。

DATA分析の実施時期

1-4.DATA分析に必要な情報

DATA分析に必要な情報

1-5.DATA分析に必要な知識とツール

DATA分析に必要な知識とツール

2.DATA分析手法と具体的な分析手順

物流施設計画において中心となるのが「ABC分析」と「EIQ分析」です。 これらにより、倉庫内レイアウトから必要な拠点規模、さらには最適な立地環境までを論理的に導き出します。

1)ABC分析

アイテム単位に在庫量や出庫量の多い種類順に並べて、それらをA(高流動)、B(中流動)、C(低流動)の3つのグループに分けて考えるのがABC分析です(主にアイテム別売上分析や保管効率の評価に用いられます)。

■ 物流施設計画への活用: 出荷頻度の極めて高いAランク商品を出荷口付近(最短動線)に配置することで、庫内のピッキング時間を削減し、受注から出荷までの内部リードタイムを飛躍的に短縮できます。

分析手順

  1. 商品を売上高や出庫数量の大きい順に並べ替える。
  2. 出庫数量の全体合計を計算する。
  3. 各商品ごとの構成比(全体の何%を占めるか)を計算する。
  4. その構成比の累計値を算出する。
  5. 縦軸に累計構成比率(%)、横軸に商品名(SKU)を配置しグラフを作成する。
  6. 累計構成比の軌跡を折れ線グラフ(パレート図)として描く。
  7. 構成比の累計が 70%(Aランク)・90%(Bランク)・100%(Cランク) の境界でグループに分割する。
  8. ランクごとの商品特性に合わせた保管設備(自動倉庫やフローラック等)を割り当てる。
ABC分析グラフ
ABC分析グループ分け

2)EIQ分析

EIQ分析(Entry Order, Item, Quantity)とは、注文件数(E)、アイテム(I)、出荷数量(Q)の相互関係から物流センターの特性を多角的に分析する手法です。

ピッキング方式を「シングル・オーダー・ピッキング(個口別)」とするか、「集約ピッキング&種まき方式」とするかの判断基準として用いられます。

縦軸にアイテムを出荷数の多い順に並べ、横軸に出荷先を発注行数の多い順に並べたマトリクスに注文数量を書き込み、その分布密度によって最適な作業システムを選択します。

EIQ分析マトリクス

分析集計結果はEIQマトリクス表で出力(Tera計算1)

EIQマトリクス集計表(Tera計算1)

2-2.出荷特性の把握と配送効率の関係

顧客や現場が自社の「出荷特性」をどの程度把握しているかによって、実現可能なリードタイム短縮の幅が決まります。[cite: 12] 時間帯ごとの出荷集中(ピーク波動)を定量化することで、トラックの接車待ちを解消し、スムーズな出庫が可能となります。[cite: 12]

出荷特性の把握状況

2-3.EIQ分析の3要素と応用

1)EIQ分析の構成要素

EIQ法は物流コンサルタント鈴木震先生によって開発されたもので、物流の基本である以下の3要素(キーファクター)を分析のベースとします:

  • E(Entry / Order): 注文件数(注文書・発注オーダー数)。配送先数やオーダーの細かさを示します。
  • I(Item): 種類数(品目数・取扱SKU数)。必要な保管スペースやロケーション数に直結します。
  • Q(Quantity): 数量(出荷点数・総ボリューム)。搬送機器の処理能力やトラック手配数の基準となります。

※ さらに、商品の形状・寸法・重量を表す S(Size / Shape) を加えた「SEIQ分析」を行うことで、より精密な保管・荷役機器の選定が可能になります。

2)EIQグラフ・散布図による視覚化

散布図を用いることで、データ上の数値を視覚的に「分布」として捉えることができます。 大口注文がどこに集中しているか、小口バラ出荷がどの時間帯に跳ね上がるかを把握することで、最適な人員配置が可能となります。

EIQグラフ
EIQグラフ詳細

2-4.EIQ散布図の活用

EIQ散布図

2-5.物流計画のための現状調査表

物流施設計画を成功させるには、データ分析だけでなく、以下のような立地条件雇用立地にかかわる定性・定量情報を網羅的に調査することが不可欠です。

📦 在庫・保管特性

  • 登録アイテム数(マスター登録数)
  • 実在庫アイテム数(常時稼働数)
  • 平均/最大在庫数(ケース・ピース)
  • 格納形態(パレット・ケース・バラ)
  • 季節ごとの在庫変動幅(ピーク時の要スペース)
※事前に必ず「換算単位(PL・ケース・個)」の整合性を確認してください。

🚚 出荷・立地条件(配送アクセス)

  • 出荷単位(パレット・ケース・バラ)
  • 1日あたりの配送先数と地域分布
  • 主要顧客への着荷リードタイム(当日/翌日便等)[cite: 12]
  • トラック車種(大型・中型)と台数
  • 高速道路ICや幹線道路からの「交通の立地条件

👥 作業体制・雇用立地

  • 作業時間帯(早朝・夜間シフトの有無)
  • 必要人員数(1日あたりの延べ作業時間)
  • 周辺人口と公共交通機関(雇用立地の確保容易性)
  • パート・アルバイトの採用単価(地域賃金水準)

💻 情報システム&運用連携

  • 受注締め時間と出荷指示のタイミング
  • WMS(倉庫管理システム)やロケーション管理の有無
  • 検品方法(ハンディターミナル・画像検品等)
  • 配送追跡(トレーサビリティ)のリアルタイム性