物流施設計画及び改善|関連知識 Menu

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プロジェクトマネジメント・拠点開発

3-14.物流システム構築期間とプロジェクトチーム編成方法

1.検討期間(3PL食品配送センターの例)

「新センター」開設プロジェクトの検討経緯(プロセス)と、それに伴うPC上のデータ・フォルダ階層構造を対応させて整理した実務ドキュメントです。 構想から一時中断、再開、本稼働に至るまでの全体ストーリーが可視化されています。

プロジェクト検討期間とフォルダ階層構造

🔍 【図解の詳細説明】フォルダ階層から読み解くプロジェクトのリアルな変遷

「東京支店新センター」の実際のフォルダ階層を用いたプロジェクトの変遷図です。 この図は、大規模な物流センター構築がいかに長期間にわたる複雑なプロセスであるかを克明に記録しています。

  • 発案と初期検討の記録(0710以前): プロジェクトは発案から始まり、フォルダ「0710以前」に格納されている通り、2006年(060921以前)から初期提案や物量データ分析が地道に行われていました。
  • 一時中断という現実(0710-0906): 用地検討や投資対効果計算、荷主との交渉が重ねられましたが、条件の不整合によりプロジェクトが一度「中断」している生々しい過程が記録されています。
  • 新用地での再開(090719以降): 2009年7月(090719)に新用地に対してプロジェクトが「再開」すると、再レイアウト、再データ分析、投資対効果の再計算といったアクションが急ピッチで進められました。 出荷シミュレーション(100202)まで緻密な検証が行われています。
  • 本稼働までのリードタイム: 役員会承認から業者発注を経て、建屋完成まで「1年」、さらに物流システムの設置完了まで「3ヶ月」(合計1年3ヶ月)のスケジュールが組まれています。 そこから稼働テスト・訓練(3ヶ月)、物流システム検収(1週間)を経て引渡し・本稼働に至るという、実際の構築リードタイムの全容が示されています。

1-1. プロセスの推移とフォルダ構造(4つのフェーズ)

① 発案・初期構想フェーズ

時期: _0710以前(2006年〜2007年頃)

実施内容: 発案、全体概略イメージ作成、概算試算、社内合意形成。

データ: 過去物量データ分析、教育資料、初期提案書。

② 詳細検討と一時中断フェーズ

時期: 0710-0906(2007年10月〜2009年6月)

実施内容: 用地検討、システム詳細検討、ROI計算、荷主交渉。

結果: 条件不整合により一時中断。

③ 再開・新用地での再検討フェーズ

時期: 090719〜100202(2009年7月〜2010年2月)

実施内容: 新用地での再開、レイアウト再作成、SAS・温度帯検証、出荷シミュレーション。

④ 承認・建設・本稼働フェーズ

役員会承認から約1年6ヶ月〜1年7ヶ月での標準構築リードタイム(承認 ➔ 発注 ➔ 1年建設 ➔ システム導入 ➔ テスト ➔ 本稼働)。

1-2. この資料が示す実務上のポイント

2.プロジェクトチーム編成

物流センター開設・リニューアルにおける「推進体制図(プロジェクト体制図)」です。

プロジェクト推進体制図

🔍 【図解の詳細説明】コアとスポットを分離した強固な推進体制

この図は、物流センター開設プロジェクトにおける理想的な「推進体制図」を表しています。 意思決定のスピードと専門性の確保を両立するための構造が見て取れます。

  • 意思決定ライン(上段): 最上段の「役員会」を頂点とし、プロジェクトの総責任者である「担当センター長」を中心としたトップダウンとボトムアップの結節点が描かれています。 両脇には専門的な知見から助言を行う「コンサルティング」と「施設・技術部長」が配置されています。
  • プロジェクトチーム・メイン担当(中央部): 実働の中核を担うコアメンバーです。 現場の「運用・作業管理者」や本社の「施設・技術担当者」「運用業務担当者」といった内部スタッフに加え、外部の「物流機器システム会社」「建築会社」「コンサルティング」が密に連携し、ハードとソフトの設計を同時並行で進める体制が組まれています。
  • 必要時参加メンバー(左右): プロジェクトに常駐せず、必要なフェーズでのみ合流するスポットメンバーです。 左側には本社の「営業担当者」「経理担当者」「総務担当者」が控え、右側には「荷主」「建築設計」「情報システム構築会社」が配置され、専門的な知見が必要な局面でのみ合流する合理的で無駄のないフォーメーションが定義されています。

2-1. 体制の全体構造と役割分担

① 経営・統括レイヤー(意思決定ライン)

  • 役員会: 最終的な事業計画の承認、投資判断(予算枠決定)
  • 担当センター長: 最高責任者(PM)として全体統括・役員会報告
  • 施設・技術部長 / コンサル: 技術的・専門的観点からの監督・助言

② プロジェクトチーム(実行部隊)

  • メイン担当: 運用管理者、コンサル、本社技術、マテハン機器会社
  • サポート: 本社運用業務担当者、建築会社

2-2. 必要時参加メンバー(スポット参加)

区分 構成メンバー 役割・参加タイミング
社内サポート(左側) ・本社 営業担当者
・本社 経理担当者
・本社 総務担当者
営業: 荷主との契約条件・収益調整
経理: 予算管理、資産計上、償却対応
総務: 用地契約、法的手続き、労務環境整備
社外パートナー(右側) ・荷主
・建築設計
・情報システム構築会社
荷主: 納品条件・荷姿・出荷要件のすり合わせ
建築設計: 基本設計・詳細設計の作成
システム会社: WMS連携・ITインフラ整備

2-3. 体制図の実務的なポイント

3.計画進行のステップ

物流センター構築・システム導入におけるフェーズ別の推進プロセス(ステージ・ゲート)と実務上の鉄則です。

計画進行のステップ(ステージ・ゲート)

🔍 【図解の詳細説明】選択肢を絞り込む「ステージ・ゲート」の仕組み

計画進行のステップを6つのフェーズと「ステージ・ゲート(関門)」で表現した概念図です。 複雑なプロジェクトを確実に前進させるためのフィルタリング機構が示されています。

  • 6つの進行段階: 左から右へ「計画構想段階」「現状把握段階」「システム提案」「システム再構築」「最終見積段階」「発注段階」という不可逆なプロセスが定義されています。
  • ゲートによる収束: 各フェーズの間にはオレンジ色の楕円で示された「ゲート(関門)」が存在します。 初期の「発案・起案(メーカ参画)」では複数のシステム案やベンダーの選択肢(複数の矢印)が存在しますが、「前提条件の確定」や「システムの模索」「統一仕様書の作成」というゲートを通過するごとに選択肢が厳格に絞り込まれます。 最終的な「顧客稟議」から「発注」へと向かう頃には、一本の太く確実なベクトルに収束していくプロセスが視覚的に表現されています。
  • 下部に記載された3つの鉄則: 図の下部には、プロジェクトを成功に導くためのマネジメントの鉄則が明記されています。 「計画構想段階はプロジェクト外秘」であること、「前提条件確定は出荷データを根拠に作成」すること、そして「出荷特性がセンターの規模機能を決める」といった、情報管理やデータ駆動設計の重要性が説かれています。

3-1. フェーズ別の推進プロセス

段階(フェーズ) ゲートでの主なアクション・ポイント
1. 計画構想段階 発案・起案 / メーカ参画: 初期構想を練り、主要機器メーカー等を巻き込み始める段階。
2. 現状把握段階 前提条件確定: 現状物量や運用を洗い出し、計画の前提条件を固める段階。
3. システム提案 システム模索: 必要な機能やマテハン(自動化機器)等の選択肢を模索・選定する段階。
4. システム再構築 統一仕様書: 各社の提案を比較・統合し、統一仕様書(RFP)として落とし込む段階。
5. 最終見積段階 顧客稟議: 最終金額・条件を揃え、荷主や社内の決済・稟議を通す段階。
6. 発注段階 最終発注: 契約を締結し、実際の製造・施工へ移行する段階。

3-2. プロジェクト推進の重要メッセージ

① 情報管理とリスクケア
「計画構想段階はプロジェクト外秘 => 関係会社・社員・パートに影響あり。」
※拠点統合・改編は現場に影響を与えるため、不確実な初期段階での情報管理が必須です。


② データ駆動と全体最適
「前提条件確定は出荷データを根拠に作成、システム構築は全体最適を選択。」
※感情論を排除し、定量的な出荷データからサプライチェーン全体の最適化を図ります。


③ 物流センター構築の本質
「配送センターの要は出荷システム、出荷特性がセンターの規模機能を決める。」
※出荷特性(納品先数・出荷量・波動等)を軸に設計(リバースデザイン)することが成功の鍵です。

4.物流システム構築の検討範囲

要件定義からシステム選定、ベンダー見積依頼(RFP)に至るプロセスと、拠点開発の最重要原則です。

横浜ベース実証実験前提条件_3

🔍 【図解の詳細説明】Boxコンテナ選定における緻密なデータ分析の実例

図は「横浜ベース実証実験前提条件」として、実際に小物をBoxコンテナに載せて運用するための緻密なデータ分析(検討範囲におけるSTEP1の定量化)を示しています。

  • 物量のマトリクス集計(左側): 「横浜データ2 Boxコンテナ対象集計」の表では、小物の長辺と短辺のサイズ(5mm〜50mm以上のグループ)ごとに物量をクロス集計し、合計33,627個の品物がどのようなサイズ分布で存在しているかをパーセンテージも含めて可視化しています。
  • 最適コンテナの選定とバーコード運用(右側): 分析データに基づいて、最適な「採用Boxコンテナ」として「サンボックス#20-2(外寸:長辺600×短辺500×高さ86mm、容量19.9L)」を選定しています。 また、採用したBoxコンテナの両側面にバーコードを貼り付け、荷自動投入時に送り状と紐付けるシステム要件も記載されています。
  • 例外処理の定量的要件定義(左下): 「SAS取扱量8000個(小物999個)/日に換算」した表に基づき、高さ70mm以下の荷物999個のうち、「985個は自動投入可能」と判定しています。 一方で、残りの「14個はBoxコンテナに入らないため別容器に入れ通常荷投入ラインからSAS入庫する」という、極めて具体的な例外処理のオペレーション要件定義まで落とし込まれていることがわかります。

4-1. 構築プロセスの3ステップ

STEP 1. 出荷特性の予測(上段)
商品特性とDATA分析に基づき、入出荷特性・機能要求・将来予測から「新センターの出荷特性予測」を定量的にはじき出します。
STEP 2. 運用・システムの最適選定(中段)
複数パターンの具体案を策定し、敷地制約・投資予算・社内外要因、および3PL/4PLパートナーの知見と照らし合わせてすり合わせます。
STEP 3. 統一仕様書の作成と見積依頼(下段)
「統一仕様書(RFP)」を作成し、同一条件で比較できるよう各メーカーへ見積依頼(建屋・設備・運用・情報システム)を行います。

💡 拠点開発における最重要原則(インサイド・アウト)
「配送センターは物流システムを先に決めて、建屋仕様とすり合わせる」
先に箱(建屋)を作ると柱ピッチや天井高により効率的なマテハン配備が困難になります。中身(システム・動線)を先行設計し、それを包み込む箱を作るのが鉄則です。

5.進行の内容と計画ステップ

商談の進行プロセス(営業・技術の役割シフト)と計画進行を統合した総合ロードマップです。

プロジェクト総合ロードマップ

🔍 【図解の詳細説明】営業と技術の連動を示す総合ロードマップ

この総合ロードマップは、「物流メーカ商談の進行(左側)」「プロジェクトの計画進行(右上)」「進行の内容(右下)」の3つの軸を完全にリンクさせて描かれています。 プロジェクトの全体像を俯瞰するマスタープランです。

  • フェーズによる役割シフト(左側): 商談進行のステップが、初期の「営業主体(引合い・営業助言)」から、中盤の「技術主体(現状分析・将来予測・前提条件の確定・提案)」へと移行し、最終仕様が固まった後に再び「営業主体(統一仕様書作成・見積提出・受注)」へと主導権がシフトする構造が示されています。
  • 進行の内容と全体最適のパズル(右下): ここがプロジェクトの核心部です。 まず商品特性やDATA分析から「入出荷特性」「機能要求」「将来予測」を割り出し、それを統合して「新センターの出荷特性予測」を導き出します。 その予測をベースに、「運用方法・情報・機器・作業方法」を策定します。 さらに、立地・敷地制約条件、投資予算、社内要因・社外要因、探して3PL業者や4PL業者からの見積もり依頼(建屋設備・運用システム・情報システム・物流機器システム)を総合的にすり合わせ、「最適システム・建屋仕様の選定」へと至ります。 最終的にこれらすべてを包含した「統一仕様書」が作成されるという、全体最適へ向けた複雑なパズルを解き明かすプロセスが網羅されています。

5-1. 各フェーズにおける役割シフト

1. 初期:営業主体

販促 ➔ 引合い ➔ 営業助言・調整。
営業が窓口となり課題・初期ニーズを引き出します。

2. 中盤:技術主体

現状分析 ➔ 将来予測 ➔ 前提条件確定 ➔ 提案。
エンジニアがデータを分析し具体的システム案を構築。

3. 終盤:営業主体

統一仕様書作成 ➔ 見積提出 ➔ 受注。
仕様確定後に最終調整と契約締結を行います。

6.プロジェクトチームの内部状況

プロジェクト初期の「意見の対立・混乱(スカラー)」から、全員が同じ方向を向く「全体最適(ベクトル)」への意識改革アプローチです。

スカラーからベクトルへ

6-1. 「スカラー」から「ベクトル」への変遷

段階 状態(概念) 特徴・内部状況
初期段階 スカラー
(大きさのみ・向きバラバラ)
・各人が異なる主張をし、部門利益(局部最適)に固執している。
推進・統一 整理・調整・視覚化 情報を整理・可視化し、客観的根拠で調整を行う。
到達段階 ベクトル
(大きさと明確な向きが存在)
・目的と手段の意思統一が完了し、「全体最適」へシフトしている。

🔑 チームをベクトル化するための要件
「第三者が評価出来る客観性 と イメージできる表現力 が求められる」
定量的な物流データ(客観性)と、全員が脳内イメージを共有できる図解・3D視覚化(表現力)が意識統合の鍵となります。

7.プロジェクト作成資料(基本計画書の13項目)

経営陣の承認(稟議)やベンダー向けRFPに盛り込むべき「基本計画書」の13項目の構成要件です。

基本計画書の13項目

1. 理念とデータ根拠

  • 0. 現状の課題とシステム構築の思想
  • 1. 物流前提(検討)条件(数値表現)

2. 物理設計(ハード・空間)

  • 2. 物流フロー(パレット/ケース/バラ)
  • 3. スペース検討(機能別面積試算)
  • 4. 搬送方式検討
  • 5. 保管方式検討
  • 6. レイアウト図割当て

3. 運用設計(システム・現場)

  • 7. 情報システム構成図(WMS/WCS等)
  • 8. 運用・作業説明
  • 9. タイムスケジュール

4. 意思決定・効果測定

  • 10. 改革(改善)ポイントと効果説明
  • 11. 投資金額と償却(ROI)
  • 12. 3Dシステムイメージ作成

📌 実務上のまとめ
この13項目が揃うことで、「経営陣は投資判断ができ」「現場は運用のイメージが湧き」「ベンダーはズレのない見積作成ができる」状態を作り出せます。